学校長より(四中だより10月号 巻頭言)
『トラウマ&ストレス』 ~心の安全基地とレジリエンス~
校長 荒木 智雄
今月は少し重たいテーマです。人生を生きていく上で重要な“キーワード”をたくさん並べます。「トラウマ」はよく耳にする言葉ですね。命の危機に直面するような大きな衝撃を受けた時にできる「心の傷」です。特に幼児期や思春期に、親から継続的な「虐待」を受けると、心の傷が大きくなります。虐待には1.「身体的虐待」、2.「お前なんか死んでしまえ」というような言葉の暴力を浴びせる「心理的虐待」、3.身の周りの世話をせずに放置する「ネグレクト」、4.プライベートゾーンに踏み込む「性的虐待」などがあり、いずれも命の危機につながるショックを受けます。トラウマはその後の人格形成に大きな影響を与え、自信のなさやコミュニケーションの不都合、過度の自己防衛反応などの発達性トラウマ(ストレス障害)と呼ばれる特性につながることがあります。メンタルだけでなく体の病気の発症リスクも高まるそうです。そして「ストレス」。これは誰もが生きている限り逃れることの出来ない永遠のテーマですよね。
さて、その辛さを完全に取り去ることが出来なくても軽減する方法はあるのでしょうか。トラウマの克服は並大抵ではありません。そのトラウマと向き合い、自分なりの関わり方を探れるようになればいいのですが、まだその時期を待たなければならないかもしれませんね。しかし、自分の「人として安全・安心に生きる権利」がどのように侵されたのかということを知ることは重要です。自分の「生きる権利」を知らないと、今度は自分が他人の「生きる権利」を奪うことにつながります。
トラウマとストレスの軽減の方向性は同じです。一番重要なのは『心の安全基地』を持つことと言われています。一番は「人とのつながり」です。「安全・安心なホッとできる人間関係」が重要です。1.本当にしんどい時はプロに頼りましょう。精神科のドクターやカウンセラー(臨床心理士)、色々な相談機関もあります。2.日常的に信頼できる「大人」や、耳を傾けてくれる「友だち」を作りましょう。人間のストレスは吐き出すだけでもかなり楽になります。また言語化することで自分の頭の中が整理されます。しんどい時は、一人で抱え込まずに、勇気をもって人に助けを求めていいのです。それを『受援力(じゅえんりょく)』と言います。生きる上で必要な力です。
最後に、3.皆さんは自分なりのストレス解消法を持っていますか?簡単なところでは、寝る・おしいいものを食べる・旅行に行く・音楽を聴く・推し活に没頭する・叫ぶ・体を動かす・などなど。可能ならストレス源から離れることも有効です。「忘れる」というのも自分でそうしようと意識するならいいでしょう。私の場合は、「時間が解決すると信じて待つ」というのがあります。別に何もしなくても時間はたつので方法もなにもないのですが、経験で得た「心の持ち方」です。これらは皆、「逃げ」ではありません。権利が理不尽に侵されていることに対して諦めて我慢するのは違うと思います。しかし、自分なりに傷を修復し跳ね返す力は生きていく上に必要で、この自己回復力を『レジリエンス』といいます。強く、しぶとく生きましょう。
その気持ちさえあれば、たとえ幾度となく挫折することはあっても、最終的にはあなたは大きく成長して卒業式を迎えることが出来るでしょう。私は、皆さんの大きく成長する姿を見るのが楽しみで仕方がないのです。この2学期が本当に楽しみです。
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