大阪モノレール南摂津駅に井路舟を展示しています。

更新日:2021年04月01日

井路舟の写真
井路舟の乗るところに藁や藁の座布団、米俵や船を漕ぐための櫂がある写真
井路舟の乗るところに藁や藁の座布団、米俵や船を漕ぐための櫂がある写真

大阪モノレール南摂津駅(摂津市東一津屋)構内に、昔、同駅周辺で使われていた「井路舟(いじぶね)」を展示しています。

同駅周辺を含む摂津市鳥飼、一津屋地区は、昭和40年頃まで湿田地帯で、刈り取った稲などを載せた舟が行き交う水郷風景が見られていました。

湿田地帯の周囲には「井路(いじ)」と呼ばれる水路が張り巡らされており、農道の役目を果たしていました。

「井路舟」は、湿田地帯の周囲に農道代わりに張り巡らされていた「井路」を行き来し、リヤカー代わりに肥料や収穫した稲などの運搬に使われていました。同地区の農家にとっては大切な家財道具でした。

船底は浅く平らであるのが特徴です。人が乗るときは櫂棒で水路底や土手を押して進み、荷をたくさん積む時には人は乗らず、綱をつけて水路わきの畔から引っ張るなどして使用しました。

道路が整備され始める昭和40年頃からは井路に浮かぶ姿は見られなくなり、代わって旧家の軒下に井路舟が吊り下げられる姿が同地区の風物となりました。

今回展示された井路舟は長さ6メートル80センチメートル、幅1メートル40センチメートル。湿田地帯に数軒あった船大工によって明治時代に作られたもので、井路舟としては標準的な大きさです。

昭和42年に集中豪雨で同市内の河川が決壊したさいは、井路舟が避難用に活躍したといいます。