蜂前寺発掘調査(平成12年)

更新日:2021年04月01日

蜂前寺発掘調査

 市内には現在、24の周知の埋蔵文化財包蔵地(遺跡)があります。摂津市教育委員会ではこれらの遺跡や周辺地における、発掘調査を実施して、その記録を保存するように努めています。今回、発掘調査いたしました場所も、これら周知の埋蔵文化財包蔵地・蜂前寺跡の中に位置します。

 今回の発掘調査では調査区を1区と2区に設定しました。1区は約178平方メートル、2区は約22平方メートルを計ります。1区は平成12年11月6日より機械掘削を開始し、その後人力掘削に移行して、現在も継続して調査中です。2区は11月9日より機械掘削を開始し、人力掘削、記録保存の後、12月4日には埋め戻しました。

 1区・2区とも基本的な堆積は、現状地盤より約110センチメートルまで、近現代の整地層でした。その下、約20センチメートルは陶磁器を含む旧の耕作土層でした。その下、現状地盤より約130センチメートルの高さより黄灰色の粘土が検出され、この黄灰色粘土にくいこむ形で鎌倉時代と見られる溝や柱穴などが検出されました。

遺構検出状況・全景・北半の写真

遺構検出状況・全景・北半

遺構掘削状況・全景・南半の写真

遺構掘削状況・全景・南半

瓦器碗検出状況の写真

瓦器碗検出状況

土師皿検出状況

土師皿検出状況

土坑墓検出状況の写真

土坑墓検出状況

現地説明会風景

現地説明会風景

 今回の発掘調査では、東西に流れる3条の溝、南北に流れる溝、総柱建物跡、庇付き掘立柱建物跡、土壙墓、井戸などの遺構や中世(鎌倉時代)を中心とし土器類などの遺物が発見されました。遺構・遺物とも時代はおおむね12世紀から13世紀の間と考えられます。しかし今回の発掘調査では中世以前のサヌカイトの破片、古墳時代の須恵器・土師器などが溝の中を中心に検出されています。この事から周辺に中世以前の生活の場があった可能性を示します。調査区で確認された断面から遺構面は最近の整地層及び耕作土の直下で、最近の耕地化の際、溝を含め上部がかなり削平されていたようです。周辺から中世よりも古い時代の遺構・遺物が見つかるかもしれません。今後の周辺地域の調査に期待がもたれます。

 今回の発掘調査は限られた範囲ということもあり、日本の歴史を書き換えるような内容ではありませんでした。しかし、摂津市および千里丘地域の歴史を知る上では、大きな成果があったものと思われます。

 これからも各遺構・遺物について内業調査(図面・写真・遺物の整理及び調査研究)を実施していきます。整理の過程で、また新しい発見があるかもしれません。