校長室から
平和を願う
全校平和集会で6年生が平和学習の取組みを報告しました。6年生が、修学旅行で広島を訪れ実際に観て聴いて感じたことを自分の言葉で伝えている姿に、下学年の児童も真剣な表情で聞き入っていました。歌「いのちのリレー」も素晴らしく、心に響く歌声でした。
2歳で被爆し、12歳で原爆による白血病と診断された佐々木禎子さんは、8か月の入院生活の末亡くなったそうです。6年生は、禎子さんや戦争で奪われたたくさんの命のことを知り、今の平和がけっして当たり前ではないことを学び、広島の平和記念公園の原爆の子の像の前で「二度と戦争を繰り返さない」と誓い、折り鶴をささげました。そして、「生まれてきたこと、育ててもらえたこと、出会ったこと、笑ったこと、そのすべてに『ありがとう』、この命に『ありがとう』 」とメッセージを伝えてくれました。
今年、「核兵器のない世界を実現するために努力し、核兵器が二度と使われてはならないと証言を行ってきた」ことが評価され、日本被団協がノーベル平和賞を受賞されました。ノーベル賞の選考委員会は、「いつの日か、被爆者が存在しなくなるときが来るだろう。しかし、記憶をとどめる継続的な取組みによって、日本の新しい世代は被爆者たちの経験とメッセージを継承している。人類の平和な未来に不可欠な条件を維持することに貢献している。」と活動を受け継ぐ意義も強調されています。
12月8日は不戦の日です。今一度、平和を願い、私たちにできることについて考えたいと思いました。
令和6年12月
凡事徹底
先週、第17回運動会を無事に開催することができました。運動会という大きな行事に向けて、約一か月間、練習や準備を行ってきました。その過程で、児童は、「もっとうまく踊るためには?」「もっと速く走るためには?」など自分なりの問いの答えを探しながら努力したり、集団としての目標達成のために支え合い声を掛け合いながら絆を深めたり、大きく成長できました。運動会当日は、精一杯演技するキラキラの笑顔も、やり切って満足気な顔も、転んでも立ち上がり歯を食いしばって走り切る姿も、「がんばれー!」と声の限り応援する姿も…、みんなみんな輝いていて感動しました。
ご家庭では、楽しいことばかりではなく、練習のしんどさや疲れ、うまくいかない気持ちなども見せていたのではないでしょうか。子どもたちをいつも励まし支えてくださっているご家族のみなさまには、感謝の気持ちでいっぱいです。当日も、たくさんの方に観ていただきありがとうございました。
さて、大きな行事の後は特に踏ん張り時だと感じます。誰だって、やる気が起きなかったり余韻に浸っていたい気持ちになったりしますよね。だから、こんな時期こそ『凡事徹底』の素晴らしさを伝えたいと思います。最後までやり切る、掃除をする、「ありがとう」や「ごめんね」を伝える、時間を守る、人の話をしっかり聞く、規則正しい生活をするなど、当たり前のことを当たり前にするって、もしかしたら、目標に向かって努力することと同じくらい、いやもっと難しいことかもしれません。児童の、掃除時間に黙々と廊下を水拭きする姿、誰も見ていなくても落ちていたごみを拾ってくれる姿、授業準備を整えてチャイム着席している姿…、私には、どの姿も運動会に負けないくらい輝いて見えます。
当たり前のことを当たり前にできるって素晴らしい!
令和6年11月
支えが力になる
パリ2024オリンピック・パラリンピックが9月8日に閉幕しました。数々の名場面が生まれました。非常に個人的ではありますが…。私のベスト3は、1点が遠かった日本男子バレーボールのイタリアとの準々決勝の試合。3セットストレート勝利まで3点差をつけて迎えたマッチポイントでしたが、あと1点を取りきることができず逆転負けを喫しました。「油断」なのか「運」なのか…。そこには、決して「技の力」だけでは測れない何かがあるのだろうと、勝負の世界の難しさを感じました。ベスト2は、ビーチバレー女子決勝でネット越しに両チームが口論になったとき、会場に流れたジョン・レノンの「Imagine」を観客が大合唱し、口論していた選手たちが笑顔に変わったシーン。平和を願う気持ちの力や歌の力を感じずにはいられませんでした。そしてベスト1は、アスリートの方々の試合後のコメントです。オリンピックでもパラリンピックでも、勝っても負けても、共通して語られるのが「支えてくれた人たちへの感謝」と「次の目標」でした。一人で血のにじむような努力を重ねてきたであろうトップアスリートの方々ですが、たくさんの人に支えられてさらに強くなれるのだなと、そして、支えがあるからこそまた頑張ろうと思えるのだなと感じました。
改めて、ご家庭や地域の皆様の日頃からのご支援に感謝申し上げます。また、学校は、子どもたち同士が「支え合う場」でもあります。仲間と学ぶことで、考えが広がったり深まったり、一人ではたどり着けなかったところまで到達することができます。自分の発した言葉は、誰かの元気や勇気につながっているかもしれません。
さて、今日から運動会練習が始まりました。運動会が楽しみな人も苦手な人もいると思います。子どもたちには、一人ひとりのもちあじを大事にし、素敵なもちあじが発揮できるよう、お互いに関心を持ち支え合いながら今年の運動会をつくり上げてほしいと期待しています。
令和6年10月
「セレンディピティ」を引き寄せるために~ふとした偶然をきっかけに幸運をつかみとる~
「なぜ勉強するの?(しないといけないの?)」という質問を子どもから受けて答えに困ったことはないでしょうか。私自身も子どもの頃は、学べる環境があることに感謝する思いには至らず「させられている」と感じることもありました。歳を重ね、もっと真剣に勉強しておけばよかったと悔むことや、学び続けられる人でありたいという思いは増しているように感じる今、知らない言葉や自分にはなかった発想に出合うことはとても楽しいものです。
先日、ある講演で聞いた「なぜ勉強するのかというと、『セレンディピティ』を引き寄せるため。」という言葉が強く心に残りました。なるほどなぁと思いました。セレンディピティ(偶然を捉えて幸運をつかみ取ること)の代表的な例として、イギリスの科学者アイザック・ニュートンが、木からリンゴが落ちる様子を偶然目にしたことをきっかけに「万有引力の法則」をひらめいたという有名なエピソードがあります。当たり前ですが、ニュートンと一緒にリンゴが落ちる様子を見たとして、みんなが万有引力の法則を発見できるわけではありません。そこには、ニュートンが努力して培ってきた「偶然を捉える力」と「幸運に変える力」があったのだと思うのです。どう捉えるか、どう生かすかは本当に人それぞれ。
さて、今日から二学期です。日々の授業はもとより運動会、林間学校、修学旅行などの行事や校外学習、体験活動など、学ぶ機会が盛りだくさんです。三宅柳田小の子どもたちには、ぜひ、主体的に学んでほしいと思います。しっかりと学びに向き合い、そこから得た経験や知識はきっとセレンディピティを引き寄せる力につながっているのですから。
令和6年9月
時計の時間と心の時間
早いもので、一学期も残すところ3週間となりました。4月からの3か月間は、私にとっては「あっという間」でしたが、果たして、子どもたちにとっても「あっという間」だったのだろうか…?そんなことを考えていると、ちょうど6年生が国語科の説明文「時計の時間と心の時間」を学習していました。心理学者の一川誠さんが教科書のために書き下ろした教材です。一川さんによると、「時間」には「時計の時間」と「心の時間」という性質の違う二つの時間があり、「心の時間」は、心や体の状態、身の回りの環境などによって進み方が違ったり、人それぞれに違う「心の時間」の感覚を持っていたりするというのです。だからこそ、その性質を知ったうえで「時間」と付き合う知恵が、私たちには必要だと述べられています。
なるほど、確かに心当たりのある話です。目的地までの移動時間、行きは長く帰りは短く感じられたり、同じ10分間でも行列に並ぶのとゲームや読書に熱中するのとでは全く感じ方が違ったり。感じ方の違いといえば、時間に限ったことではありません。同じ出来事に遭遇しても、その時心に余裕があるかどうかで、ピンチと捉えるかチャンスと捉えるかは違ってきます。自分が感じている状況が、必ずしも事実(現実)とは限らないのです。だからこそ、多面的・多角的に物事を見たりゆったりとした心持ちで事にあたりたいなあと思うのです。
さて、夏休みまでの3週間、与えられた「時計の時間」はみんな同じです。どんな「心の時間」となるか、悔いのないように大事に過ごしたいものですね。
令和6年7月
子どもの安全を守る
外を歩いていると、あちらこちらのご家庭の庭先に、紫陽花の花が色づき始めているのを見かけるようになりました。「もう紫陽花の季節?」と思っていたら、やはり今年は例年よりも開花が随分と早いようです。例年より早く夏がやって来たような暑さの日があったり、梅雨の終わりのような大雨の日があったりして、季節外れの異常気象が「異常」ではなく当たり前になっているようにも感じます。学校では、熱中症や水の事故、遊具や施設の事故等が起こらないよう、子どもたちに注意喚起し全教職員で事故防止に努めています。
また、6月は大阪府「子どもの安全確保推進月間」です。大阪教育大学附属池田小学校での痛ましい事件のあった6月8日は「子どもの安全確保・安全管理の日」とされています。本校でも6月6日に防犯訓練を行う予定です。5月27日には、暴漢の侵入を想定した教職員の訓練を、摂津警察のご指導の下実施しました。子どもたちが安全安心に楽しく学校生活を送ることができるよう、点検・強化を図ります。保護者の皆様には先日の引き渡し訓練にもご協力いただきありがとうございました。引き続きご協力をよろしくお願いします。
令和6年6月
心をひらいて
新学期が始まり一か月がたちました。毎朝校門に立って子どもたちが登校してくるのを迎えていると、様々な変化を感じます。桜が散り、初夏の日差しに変わってきました。また、子どもたちのあいさつの様子も変わってきました。自分から元気にあいさつしてくれる人や目を見てにっこりあいさつしてくれる人が増えました。少し恥ずかしそうに会釈を返してくれるようになった人もいます。でもまだまだ表情を変えずに通り過ぎる人も…。心を開くまでの時間は人それぞれですね。いつでも安心して自分を表現してもらえるように、私は毎日、心を開いてあいさつをし続けようと思っています。
さて、4月23日から一年生の給食がスタートしました。どきどき、わくわくの給食ですが、当番の仕事を6年生が手伝いに来てくれています。手伝うにあたり、「一年生はどんなことに困るだろう?」「一年生にとってどのように手伝うのが良いだろう?」と考えたそうです。「一年生にとって」というのがミソですね。さすが6年生。思いやりを感じたエピソードでした。
令和6年5月
主役は子どもたち
満開の桜が美しく咲きほこる春、78名の新入生を迎え、全校児童462名、教職員総数49名で、三宅柳田小学校の令和6年度がスタートしました。
保護者の皆様、地域の皆様には、日頃より本校の教育活動をご支援いただき、心より感謝申し上げます。
さて、三宅柳田小学校の学校教育目標をご存じでしょうか。(昨年度の学校教育 保護者アンケートでは「はい」「どちらかといえばはい」は61.1%と低い結果でした…。)
1.やさしくおもいやりのある子
2.自らすすんで学習し、さいごまでやりとげる子
3.たくましい気力や体力のある子
1では「優しさ」「思いやり」、2では「主体性」「意欲」「粘り強さ」、3では「たくましさ」など、もっと広く捉えると「忍耐力」「社交性」「自尊心」といった力の育成を目指しています。これらの力はすべて『非認知能力』、つまり数値での測定が難しい能力です。そして、この『非認知能力』を育むことは、『認知能力【計算力や語学力といった学力テストなどで測れる能力】』の育成にも生かされるようになるそうです。
三宅柳田小学校の子どもたちの幸福や自己実現にむけ、子どもたちが主役となって主体的に活動できるような教育活動を工夫し、数値で測れる力も測れない力もしっかりと育んでいけるよう、教職員全員で取り組んでまいります。
「主役は子どもたち」を合言葉に、今年度も皆様方の温かい励ましと、ご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和6年4月
校長 猪本 澄子
みんなで繋(つな)ぐ
冬休み期間中に、東大阪市の花園ラグビー場で開催された第101回全国高校ラグビー大会で、惜しくも準優勝の 国学院大学栃木高等学校。今大会ベスト8に残った中で、唯一高校日本代表候補のいないチームであり、そのことから今年のチームは「雑草軍団」とも呼ばれていました。
そのチームを率いる吉岡肇監督は、以前ラグビーについて次のように述べていました。
「ラグビーは自分勝手じゃパスはつながりません。仲間の分までタックルしてやるという気持ちがないと勝てないし、いい選手になれない。一つのボールをみんなで繋ぐところがすばらしい。繋ぐためには、選手が大人になっていくしかないのです。パスというのは、ボールに夢を託すのですから。」
本年の三宅柳田小学校も、寅(トラ)年にあたり、子どもたちや教職員、それぞれの夢が託されたボールをみんなで繋ぎ、みごとにTRY(トライ)できるよう、一丸となった取り組みを進めます。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
令和4年1月11日
校長 谷田 学
更新日:2024年12月04日