地域で守ろう子どもの安全

更新日:2018年03月30日

 現在の地域社会においては、核家族化や少子高齢化、ライフスタイルの変化などの影響から、ご近所づきあいが無くなってきたり、地域の活動への参加者が少なくなるなど、人間関係が希薄化し、地域コミュニティーの衰退が指摘されています。このような中で、隣人の顔も知らない生活は、人づき合いのわずらわしさから開放されて気楽な反面、常に孤独感と不安を抱えてしまう事にもなりかねません。そのような連帯感が希薄になった地域が、犯罪のねらい目になることも指摘されていますし、「都会の限界集落」といった問題も言われています。

 一方で、ボランティア意識の高まりやNPO(法人)の増加など、問題意識や使命感を共有し、地域や社会の問題を一緒に考え、解決を目指す、新たな地域や社会(公共)の担い手が生まれている状況が顕著にみられます。

 このような状況の中で、摂津市では平成16年度に学校園受付員制度を開始いたしました。全国各地で小学校に不審者が侵入し、子どもが被害者となる事件が発生し、学校の安全対策が喫緊の課題となりました。そして、非常通報装置や防犯カメラの設置、オートロック式の門扉を導入したりするなどの対策が講じられました。

 しかし、これらのシステムを運用するのは「ひと」であり、機械が安心を確保してくれるわけではありません。また、警備員や頑丈な門扉により学校を要塞化する事は、子どもたちの人間不信を助長するなど疑問があります。

 昨今の高度な教育課題に対応する学校現場が、子どもたちの教育に集中できる環境を作り、学校の安全安心を確保するためにはどうしたらいいのか。また「開かれた学校づくり」として、地域と共に教育活動をすることが求められている中で、いかに地域との関わりを作っていくのか。このような課題に対し、摂津市では「ひと」の大切さに着目し、地域の住民の方に校門に立っていただくことを選びました。「地域の人が校門にいる」という事が高い防犯効果をもたらし、地域内の世代間交流(コミュニケーション)が生まれるのではないかと考えました。

 「地域で守ろう 子どもの安全」とは、学校という「点」の対策では、本質的で根本的な対策ではない。1人でも多くの地域住民が、安全な地域づくりに参画するという、面的な広がりが重要であるということです。

 つまり、地域住民が学校の安全対策に関わることが、学校の安全安心に大きく寄与するのみならず、学校と地域の橋渡し役として、また、活動を通じた地域内の水平的な住民のネットワークを構築していくことが重要であり、学校を核とした「顔の見える」新たな地域コミュニティーの形成を目指しています。