有機フッ素化合物(PFOA、PFOSなど)について
更新日:2023年08月02日
環境省が実施した全国的なPFOA及びPFOSの存在状況把握調査の結果、摂津市内の井戸より、PFOA及びPFOSの合算値が令和2年に国が示した暫定的な目標値等を超える濃度で検出されました。
当該調査井戸及びその周辺において、地下水が飲用に供されていないことは確認しておりますが、PFOA及びPFOSの現状についてお知らせします。
なお、令和5年1月に環境省が設置した「PFASに対する総合戦略検討専門家会議」の監修の下で、令和5年7月時点での科学的知見等に基づいた、「PFOS、PFOAに関するQ&A集」が作成されておりますので、こちらも併せてご確認ください。
有機フッ素化合物(PFOA及びPFOSなど)とは
PFOAはペルフルオロオクタン酸(Per Fluoro Octanoic Acid)の略称、PFOSはペルフルオロオクタンスルホン酸(Per Fluoro Octane Sulfonic Acid)の略称で、いずれもフッ素を含む有機化合物の一種です。
PFOA及びPFOSは、撥水性と撥油性を併せ持つ特異な性質を有していることから、これまで様々な表面処理の用途に使用されてきました。
★主な用途
・PFOA・・・泡消火薬剤、繊維、電子基板、自動車、食品包装紙、石材、フローリング、皮革、防護服 等
・PFOS・・・泡消火薬剤、半導体、金属メッキ、フォトマスク(半導体、液晶ディスプレイ)、写真フィルム 等
特徴や人への影響について
〈特徴〉
PFOA及びPFOSは、化学的に極めて安定性が高く、水溶性かつ不揮発性の物質であるため、環境中に放出された場合には河川等に移行しやすく、また難分解性のため、長期的に環境に残留すると考えられています。
〈人への影響〉
人の健康への影響については、各国・各機関で知見が集積されつつあるものの、発がん性に関する国の中央環境審議会の答申の記述内容は次のとおりで、国際的な評価や国際的に主要な評価機関による評価がなされていない状況です。
項目 | 発がん性 |
PFOA | 国際がん研究機構(IARC)においては2B(ヒトに対して発がん性がある可能性がある)に分類されており、発がん性に関する報告も一部ではあるが、知見が十分とは言えず、国際的な評価はない。 |
PFOS | 国際的に主要な評価機関による評価がなされておらず、データが不十分なため分類できない。 |
規制の状況について
PFOA及びPFOSは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs(ポップス)条約)で、製造、使用、輸出入を原則禁止する物質に挙げられており、国内では、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、PFOSは平成22年4月以降、PFOAは令和3年10月以降、原則として製造、輸入及び使用が禁止されています。
また、令和5年2月にPFOA、PFOS及びその塩が水質汚濁防止法の指定物質に追加されました。指定物質を製造等する施設を設置する工場等の設置者は、指定物質が事故により公共用水域等に排出され、人の健康や生活環境に被害が生じるおそれがあるときは、速やかに応急措置を講じるとともに、知事への届出が義務付けられています。
公共水域等の基準について
PFOA及びPFOSは、令和2年5月に、水質汚濁に係る要監視項目(注1)に指定され、河川や地下水などにおける暫定的な目標値(指針値)として、PFOA及びPFOSの合計値で1リットルあたり50ナノグラム以下(注2)とされました。
(注1)要監視項目: 「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの」として、現在、公共用水域では27項目、地下水では25項目が設定されています。
(出典:環境省ホームページ「要監視項目」)
(注2)ナノグラム:10億分の1グラムを示す単位
飲料水の基準について
飲用水については、厚生労働省が令和2年4月からPFOA及びPFOSを水質管理目標設定項目(注1)に位置付け、暫定的な目標値は、上記の公共水域等と同様に、PFOA及びPFOSの合計値で1リットルあたり50ナノグラム以下となっています。
(注1)
水質管理目標設定項目:「水道水中での検出の可能性があるなど、水質管理上留意すべき項目」として、現在27項目が設定されています。
(出典:厚生労働省ホームページ「水道水質基準について」)
なお、摂津市が供給する水道水について、定期的にPFOA及びPFOSの濃度測定を行っておりますが、暫定目標値を超える数値は検出されておりませんので、ご安心ください。
(出典:摂津市上下水道部ホームページ「水道水質検査結果」)
(出典:大阪広域水道企業団ホームページ 「受水市町村分岐等における水質検査結果」)
土壌や食物(米・野菜等)の基準について
現在、土壌や食物(米、野菜等)に関する指針値等の基準はありません。
なお、環境省において令和3年度から3年間、環境研究総合推進費を用いたPFOA等の土壌中の挙動予測、どのように効率的に除去できるかといった除去技術の開発等をテーマとした研究が行われております。
(環境研究総合推進費の進捗)
PFOA及びPFOSの調査結果について
〈環境省の調査結果〉
環境省が、PFOA及びPFOSの水環境における全国的な存在状況を把握するため、令和元年度及び令和2年度に全国存在状況把握調査を行いました。その結果、市内の地下水より、PFOA及びPFOSの合算値が国の暫定的な目標値を超える濃度で検出されました。
なお、当該地下水を採取した調査井戸及びその周辺において、地下水が飲用に供されていないことを確認しております。
No. |
地点区分 |
PFOA及びPFOSの合算値(ng/ℓ) |
79 |
地下水 |
25 |
80 |
地下水 |
170 |
(出典: 環境省ホームページ「令和2年度有機フッ素化合物全国存在状況把握調査結果」)
No. |
地点区分 |
PFOA及びPFOSの合算値(ng/ℓ) |
93 |
地下水 |
1,855.6 |
(出典: 環境省ホームページ「令和元年度PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査結果」)
〈大阪府の調査結果〉
規制指導を所管する大阪府が、摂津市内で過去に PFOA を取り扱っていた事業所周辺の公共用水域及び地下水において、PFOA 等が暫定指針値を超過して検出されていることから、継続的に監視を行うことを目的に、摂津市内の水路及び地下水の水質調査を実施しております。
(出典:大阪府ホームページ「PFOA等調査結果」)
国における検討の状況について
PFOS、PFOA及びPFASに係る科学的知見の集積並びに国際的な動向を踏まえ、国においても専門家会議等が設置され、水質の目標値等の設定や食品の摂取による人の健康への影響に関する検討を開始しております。本市では、今後とも国の動きについて注視していきます。
今後の対応について
摂津市内の地下水については飲用利用がないこと、水道水については暫定目標値を下回っていることを確認しておりますが、引き続き、地下水の飲用利用は控えていただくようにお願いします。
また、環境省・厚生労働省が策定した「PFOS及びPFOAに関する対応の手引き」に基づき、ばく露防止の観点から、地下水等の継続監視及び規制指導を所管する大阪府と連携して対応してまいります。
(出典:PFOS及びPFOAに関する対応の手引き)
参考(出典:大阪府ホームページ「PFOA及びPFOSとは」)
この記事に関するお問い合わせ先
摂津市 生活環境部 環境政策課
〒566-8555 摂津市三島1丁目1番1号 摂津市役所新館4階
電話:06-6383-1364
ファックス:06-6317-3063
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