校長室

『やかんの話』

始業式で、高校卒業から30周年の同窓会をした話をしました。高校の時の担任の先生は国語の先生で、80歳を超えた今でも、歴史や文学を人に伝える仕事をしています。先生はいろんなことを教えてくれましたが、先生の言葉で今でも私が覚えている話を紹介します。

「勉強がわかる瞬間というのは、やかんでお湯を沸かしていて沸騰する瞬間に似ている。得意な教科を勉強している時は火力も強めだが、得意でない教科だとたちまち火力が落ちてしまう。水の温度が100度まで上がってやっと沸騰するのであって、白い湯気が出ているだけの時はまだ沸騰(勉強がわかる瞬間)ではない。多くの場合、白い湯気を見た段階でわかったつもりになってしまうか、いつまでたっても湯気もでない、とやかんを火から下ろしてしまう。覚えておいてほしいのは、たとえ小さな火であっても自分からやかんを下ろさずに火にかけ続けていれば、時間がかかってもいつかは沸点を超えるということ。苦手だ、わからない、と思ってもわかる瞬間を楽しみに頑張りなさい。」

今でも苦手なことに取り組むときはこの『やかんの話』を思い出します。高校生の時と今の私が違っている点は、取り組むための方法を変えてみたり、他の人の協力を得たりして解決しようとする知恵や経験が身についたことでしょうか。

教わった先生の言葉で大事にしている言葉はありますか?また教えてください。

ない、という人には、そんな言葉や経験に出会える二学期になることを願っています。

学ぶことの楽しさと苦しさ(7月)

二中校区は小中学校合同での教職員研修や授業研究会への参加が活発な校区です。先日、鳥飼北小学校での公開研究授業に参加してきました。私が参観したのは4年生の国語の授業で、二中生のみなさんも小学生で学習した「一つの花」が題材でした。戦時中のある家族を描いた物語ですが、参観した教室の児童たちは登場人物の気持ちを、行動や会話の叙述をもとに一生懸命に読み取ろうとしていました。児童の下校後には、先生たちが授業を振り返って改善点を考えたり、鳥飼北小学校の研究を進めていくうえで大切にしたいポイントを熱心に話し合ったりしました。

このような授業研究は二中でも行っていて、7月8日(火曜日)に3年生の社会科の授業をモデルに、二中の教職員だけでなく校区の小学校の先生方と一緒に学ぶ予定です。この授業に向けて、授業者である古川先生がいちばん熱心に準備してきたのはもちろんですが、社会科の他の先生たちが構想を練る段階でアイデアを出し合ったり、出来上がった案に対して他の教科の先生たちも会議で意見を出し合ったりしながら授業の中身を練り上げてきました。期末考査1日目の放課後に、模擬授業といって先生たちが生徒役になり授業を受けて、目標を達成できる流れになっているかどうかの検討もしました。

さて、授業者の「歴史を学ぶ楽しさを伝えたい」という思いが3年生たちに伝わるかどうか、資料を読み解き考え、その考えを表現する力を3年生が身に付けられているかどうか、期待して見守りたいと思います。戦後80年の今年、歴史を学ぶ意味について二中の先生全体で考え、学ぶことができました。学ぶことは苦しいことでもあるけれど、その楽しさも生徒が感じられるような授業をしていきたい。学び続ける教職員集団でありたいと思います。

魔法の言葉は何でしょう(6月)

英語圏の子どもたちは保護者や先生に、“What’s the magic word?”と言われて育ちます。直訳すると「魔法の言葉は何?」ですが、自分が何か欲しいとき、して欲しいことを頼むときにpleaseをつけ忘れたまま喋っているとこう言われます。つまり、pleaseが誰かに何かをお願いするときの「魔法の言葉」ということです。お店で店員さんを相手に注文するときにも、文末にきちんとpleaseをつけて話すのがマナーだと教わります。

コミュニケーションを円滑にする魔法の言葉は、日本語ではどんなものがあるでしょうか。相手にお願いするときはやはり「すみません」と声をかけることが多いように思います。何か悪いことをして謝っているわけではなくて、(あなたが忙しいのはわかっているんですが)「すみません」(~してくれませんか)という、相手への気づかいを示す言葉です。「すみません」とお願いしている人に冷たい態度は取れませんよね。

ただし、大切なのはこの後です。誰かに何かをしてもらったときに、あなたは「ありがとう」と感謝の言葉を言えているでしょうか。もし可能であれば「ありがとう」と一緒に、(困っていたけれど本当に)「助かりました。」や(無理なお願いを聞いてもらって)「うれしかったです。」という言葉を付け加えてみてください。そうすれば相手は、役に立ってよかった、よろこんでもらえてよかった、と思えてまた違う場面でも困っている人がいたら助けてあげようという気持ちになるのです。まさに、魔法の言葉です。使ってみてくださいね。

※ “What’s the magic word?” というセリフは、ハリーポッターシリーズの中でロンが言われているシーンがあります。探してみてください。

52万5千600(5月)

なんの数字か、わかりますか。1年分の時間を分で換算すると、525,600分です。

1分でできることは少ないかもしれませんが、この1分の繰り返しであっという間に1年が過ぎていきます。「時間だけは平等に過ぎていく」という言葉もあります。限られた時間ですが、みんなに平等に与えられています。でも、その使い方によって得られるものや結果が変わってきます。

ちなみに、始業式のあった4月9日から昨日(4月30日)までに過ぎた時間は3万1680分です。新学期が始まってからのこの3万1680分は、慣れない環境で大変だったと思います。でも、時間の使い方を少し工夫すると、これからできることが増えたり見える景色が変わったりしてくると思うのです。

・朝、ほんの少しだけテキパキと準備していつもより早く出発する

・授業の終わりの1分でも、今日学習した内容を自分の言葉でまとめてみる

・本を読む時間がない、でも10分は読んでみる などなど…

私自身も、1分を大切に、時間の使い方を考えていきたいと思います。

※今回のお話は、ミュージカル作品「RENT」の挿入歌であるSeans of Loveを参考にして考えました。興味があったら聴いてみてください。

ごあいさつ(4月)

4月1日より摂津市立第二中学校校長として赴任いたしました、藤山 京(ふじやま みやこ)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、本校では新入生105名を迎え、全校生徒373名で新年度がスタートしました。すべての生徒にとって中学校生活が安全・安心で充実したものとなり、一人ひとりの生徒に生きる力を育むことができるよう、私たち教職員も気持ちをそろえ、取り組んでまいります。

第二中学校では、「二中・チェンジ・プロジェクト」「二中・チャレンジ・プロジェクト」としてNCPを掲げてきました。令和7年度からは、「二中・チアアップ・プロジェクト」と改め、引き続きNCPを合言葉に学校教育活動を進めてまいります。「チアアップ」とは英語のcheer up ですが、励ましたり応援したりするという意味です。生徒たちがお互いに励まし合い高め合えるように、また、生徒たちの成長を私たち教職員は全力で支え、応援していきます。そして、保護者や地域のみなさまが応援したくなるような二中をつくっていきたい、という決意を新たにしています。